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管理栄養士も感じている日本人に不足している油

管理栄養士も感じている日本人に不足している油

管理栄養士統括責任者の清長です。

油のことを管理栄養士は油脂(ゆし)と呼ぶことが多いのですが、ダイエットの敵や身体に悪そうというイメージが強いと思います。油の種類によっては身体に必要な油脂もあることを是非、知って頂きたいです。

管理栄養士も感じている日本人に不足している油

 

■油の種類

脂質を構成する主成分に「脂肪酸」があり、脂肪酸をより詳しく分類すると「飽和脂肪酸」「不飽和脂肪酸」の2種類が存在し、不飽和脂肪酸はさらに「オメガ3脂肪酸」、「オメガ6脂肪酸」、「オメガ9脂肪酸」に分けられます。そして、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は体内で生成できない成分のため食品から摂取する必要があり、これを「必須脂肪酸」と呼びます。

 

・飽和脂肪酸

常温で固体であり安定性が高く酸化しにくいのが特徴です。体内で直接小腸から肝臓に入って分解されるので、素早くエネルギーになります。そのため、脂肪酸の中では最もエネルギー源として利用される成分となります。

ただ、液体になる温度が高いので体内でも固まりやすく、血液の粘度を高める場合があるので摂りすぎには注意が必要です。代表的なものにバターやココナツオイルがあります。

 

・オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸など)

不飽和脂肪酸であり、さらに体内で作り出すことができない「必須脂肪酸」の一つ。常温では液体で、安定性が低く酸化しやすい脂肪酸です。アレルギー性疾患を改善し、脳細胞を活性化する一方、血液をサラサラにし、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞・高血圧などの予防に効果があると言われています。体内からの異物に対して体を守る免疫機能の改善および促進にも働きがあると、数々の論文が発表されています。魚に多く含まれる他、主成分のひとつ「α-リノレン酸」が多く含まれているものに亜麻仁油やえごま油があります。

 

・オメガ6脂肪酸(リノール酸など)

オメガ3脂肪酸と同じく、不飽和脂肪酸であり体内で作り出すことができない「必須脂肪酸」の一つ。

常温では液体で、安定性が低く酸化しやすい脂肪酸です。血中コテステロール値を下げ成人病の予防や治療にも用いられています。免疫力を高める効果もあると言われていて、抜け毛予防や傷の治りが早くなるなどの効果も期待されています。主成分のひとつ「リノール酸」が多く含まれているものにグレープシードオイルやコーン油、大豆油があります。

 

・オメガ9脂肪酸(オレイン酸など)

不飽和脂肪酸の一つで、体内で作り出すことができます。常温で液体ですが、不飽和脂肪酸の中では安定性が高く酸化しにくいので加熱調理もできます。善玉コレステロールを強化し、悪玉コレステロールを減らす役割があります。心臓病の予防にも効果が期待されており、内臓脂肪の蓄積を防ぐとも言われています。主成分のひとつ「オレイン酸」が多く含まれているものにオリーブオイルや菜種油があります。

 

■不足しがちな「オメガ3脂肪酸」

日本人は昔、さば、イワシ、アジなどの青魚からDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸を多く摂取していました。しかし、食生活が欧米化し現在では鮮魚の摂取量は精肉の約半分にまで落ちています。このためオメガ3脂肪酸の摂取量も一気に減り、結果として、生活習慣病などが増加してしまっていると見られているからです。また、「オメガ3脂肪酸」には血液をサラサラにする効果がある一方で「オメガ6脂肪酸」には血液を凝固させる作用があります。どちらか一方が増えすぎると血液が固まるリスクが増えたり、逆にサラサラになりすぎて出血が止まらなくなるなどの問題が起きてきます。脂肪酸にはそれぞれ効果があり、それらをバランスよく摂取することが大切なのです。しかし魚を食べなくなってきた現代の食生活では、魚に多く含まれていた「オメガ3脂肪酸」の摂取量が減少しています。一方、加工品や外食で多く使われている油には「オメガ6脂肪酸」を含む油が多く、摂取過多の傾向にあります。

 

■日本人の「オメガ3脂肪酸」摂取基準

厚生労働省によると、オメガ3脂肪酸の成人1人当たりの摂取量の目安は1.6g~2.4g/日とされています。人間が健康であるためには、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取比率は1:4が望ましいとされていますが、肉や油を摂取する頻度が高くなったことから、現在は比率が1:10から約1:30*1と摂取過多になっているとの指摘もあります。

 

■「オメガ3脂肪酸」を摂取するには

青魚や亜麻仁油などを摂取することをおススメします。食べ方は至って簡単。青魚でしたら、焼く、煮るなど普段通りの調理方法でOK。亜麻仁油でしたら1日に小さじ1杯くらいを摂取すればOK。ただ、亜麻仁油は熱や酸化、直射日光に弱いので日陰で保存して開封したらなるべく早く食べることをおススメします。ただ、身体によいからと言って大量にとっても意味がありません。油は1gあたり9kcalあります。たくさん摂取することはカロリー多価になりますので注意しましょう。

 

■まとめ

油(油脂)にもいろいろな種類がある。

それぞれの油の特徴を知って適量を守って食べることが大切

青魚や亜麻仁油などを適度に日常の食生活に取り入れることがポイント

管理栄養士なら、青魚や亜麻仁油を使った商品開発やレシピ開発をすることもできます。

 

 

参考資料:*1 論文「metabolism and functional effects of plant-derived omega-3 fatty acids in humans」参照

 

 

 

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